狩猟採集新時代

大手上場企業を不動産投資で脱サラした30代が綴るライフログ

フェルミ推定という魔法のツール:見えない数字を可視化する

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右脳派だの、左脳派だの、

論理タイプだの感情タイプだの、

人は分類分けが大好きです。

 

常にフィーリングだけ

生きる人はいるかもしれないですが、

論理的思考が必要になる場面は、

人生どこかでやってきます。

 

ブログの文章からわかるかもしれませんが、

私はかなり理屈っぽい野郎です。

その反面、モテません。

 

 

今回は、そんな「論理的思考」

を鍛えるための"フェルミ推定"

についてご紹介します。

 


名前だけは聞いたことある人がいるかもしれませんが、

これが出来るようになると、

見えない数字がなんとなく見えてくるという

魔法のツールです。

 

特に飯屋の行列に並んでいる時など、

"最高の暇つぶし" になりますよ。

 


目次:

 

 

 

 

1.儲けてそうなラーメン屋が潰れていた、という経験ないですか?

家の近くにある、お洒落なラーメン屋さん。

1回行ったことあるけど、味もけっこうおいしい。

通るたびに中を覗くと、まあまあお客さんが入っている。

それなりに儲けているんだろうなぁ、と予想していたら、

なんといきなり閉店。。。

 

↑こんな経験ないですか?

都心部は、飲食店の入れ替わりのスピードが本当に激しく、

多少儲かっていそうなお店でも、

潰れるリスクと隣り合わせだったりします。

 


お客が多い=儲かっている

お客が少ない=儲かっていない

 

この理解は、大体当てはまります。

しかしここでの「儲け」という言葉は、

あくまで「売上」を意味しています。

 

商売の基本は、利益を残すこと

「儲け」とは本来利益のことを指します。

"売上"がいくら高くても、"費用"が高ければ、

利益が少なくなるのはわかるでしょう。

 

 

そう、お客が多いと思っていたラーメン屋は、

実は食材にこだわっており原価率が高く、

お客さんの量のわりに、

あまり利益が出ていなかったかもしれません。

あるいは、家賃がそれ以上に高かったか。

接客満足度を上げようと、従業員を雇いすぎだったか。

・・・

 


もちろん、経営上の細かい数字は

店主や関係者しか知り得ません。

ただ、ある考え方を使うことで、

"潰れそうか""潰れそうではないか"

を推測することができたら、面白くないですか?


その推測のためのツールが

フェルミ推定という思考法です。

 

 

 


2.フェルミ推定を使うと、数字が予想できる。

フェルミ推定は、次のように定義されます。

 

実際に調査することが難しいような捉えどころのない量を、

いくつかの手掛かりを元に論理的に推論し、

短時間で概算することである。(Wikipedia

 

エンリコ・フェルミさんという

物理学者が名前の由来です。

 

では、このフェルミさんが

ラーメン屋の経営とどのように関係してくるのでしょうか?

彼はラーメン屋のプロフェッショナルではありません。

なので、細かな数値やノウハウも知らないですし、

"答えを正確に当てるのは不可能"です。

 

このフェルミ推定では、

答えが合っている/合っていないというより、

考え方の過程が合っている/合っていない

が重要視されます。

 

では、ラーメン屋の例で考えてみましょう。

 

例:お洒落でお客も来ていたラーメン屋

 

①売上を求める

 客席数:12席 ※平均的な大きさ?

 ラーメン1杯の単価:800円 ※安くないが都内では一般的?

 トッピングなども含む客単価平均:1000円 ※これも一般的?

 一日あたりの平均回転数(昼夜平日休日問わず):6回転 ※かなり来ている場合?

 ⇒月の売上平均:(12×6×1000)×30 = 2,160,000 円

 

②費用を求める

 製品原価(こだわりの食材):40% ※材料を見ると、結構高そう?

 従業員一人当たりの支払い費用:200,000円 ※バイトの給与、営業時間も長いし?

 従業員人数:4人 ※店を見渡したときに居る人数、これくらい?

 家賃:300,000円 ※けっこういい立地なので、これくらい?

 光熱費や消耗品等雑費:80,000円 ※ざざっとこれくらい?

 ⇒月の費用合計:2160000×0.40 + 200000 * 4 + 300000 + 80000

        = 2,044,000 円

 

③利益を求める

 2160000 - 2044000 = 116,000円

 

 

・・・

お、黒字になりましたね。

ちなみに、これらの数値は、

メニューなどからわかるもの以外

すべて推定です。

なので、厳密に合っていることはないでしょう。

 

数値があっていなくても、

「なんとなくそれっぽいかも、」

という感覚が大事です。

 

あくまで計算式だけを考えて、

代入する数値は参考値で良いのです。

 

 

上記の計算結果は、11万6000円の利益になりました。

これをどう解釈するかはあなた次第です。

常にお客が6回転していればいいのですが、

少しでも客足が鈍くなると、

あっという間に赤字転落してしまうリスクがあります。

 

また、ラーメン屋のオープンには

大体1000万円近い初期費用も掛かっているので、

その回収が大変そうですよね。

店をたたむ理由が説明できるかもしれません。

 

 

 

 

3.フェルミ推定ってどんな場面で役に立つのか?

町のラーメン屋の行く末を推定することは、

あなたの人生にとって、

メリットがあることかどうかはわかりません。

 

しかし、このフェルミ推定は、

論理的思考力のトレーニンになります。

 

 

昔、このフェルミ推定」を使った質問が、

グーグルの社員採用で使われていたそうです。

私も、その話からフェルミ推定の存在を知りました。

 

アメリカのシカゴにはピアノの調律師は何人いるか?」

「旅客機の中にゴルフボールはいくつ入るか?」

 

こんな奇想天外な質問が採用面接で

実際に出されていました。

これらに正しい答えを用意するのは、

いくらクイズ王でも難しいでしょう。

 

 

もちろん、数字を知っている/知っていないは

本質ではありません。

例えばピアノの調律師の質問の場合だと、

 

 "シカゴの全人口ピアノ所有率を掛け、

 まずはシカゴにあるピアノの台数を求める。

 そこから、調律師が一日に仕事ができる台数と、

 ピアノの調律を行う頻度を求めれば、

 調律師の人数を逆算的に求められる。"

 

こんな組み立ての回答例があります。

各数値(青字)は、もちろん予測値で良いのです。

ただ、採用面接での問いであれば、自分の一般教養を示す意味でも、

ある程度現実的な数値を使う必要があると思いますけど。

 

 

2010年くらいまで、フェルミ推定を使って、

応募者の論理思考力を評価していたそうですが、

応募者にとっては、

これに答えられなくて落とされるのは、

ちょっと納得いかないですよね。

会社の業務に何の関連もありませんから。

 

そんなこんなで、導入当初は

"さすが天下のGoogleの入社試験だ"

と話題性があったものの、

今は、Google含む起業の多くが

採用していないみたいです。

 


とはいえ、この思考を「役に立たない」

と切り捨てることはできないと思います。

 

株の銘柄を選ぶ際の、各数字のつながりを確認したり、

自分の所有物件で民泊をやる場合の収支を計算したり、

あるいは夫婦のお小遣いの金額交渉に。。。。

 

正確な答えを知るのではなく、

あくまでも自分の選択の根拠にすればよいのです。

違ったらまた判断を変えれば大丈夫です。

 

「何となく」の判断が危険な場面で、

こういった論理的思考はとても役に立ちますよ。

 

 

何より、飲食店に並んでいる時、

その店がどれくらい儲けているかを計算するのは、

最高の暇つぶしになりますので。

 

 

※よく並ぶラーメンに関する参考記事↓

二郎という合法ドラッグで最高にハイになれる件 - 狩猟採集新時代

ミシュラン星つきラーメンを喰ったら味覚が第2宇宙速度で大気圏突破した話 - 狩猟採集新時代

 


以上