狩猟採集新時代

大手上場企業を不動産投資で脱サラした30代が綴るライフログ

"AKB商法" の考案者は優秀な学者に違いない理由

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AKB48、一時期に比べ、

あまり騒がれなくなりましたが、

数年前は毎日のように名前を目にしていました。

 

私は篠田麻里子殿以外は興味が無かったので、

ライブに行ったりCD買ったりはしてなかったのですが、

曲をなんとなく覚えてしまうくらいには、

メディアや街中で頻繁に耳にしていました。

 

 

前職の若手とカラオケに行った時も、

AKBの曲をみんなで合唱できるレベルの知名度

 

まぁ、私はAKBの曲を聞くと、

秋元康氏がニヤニヤしながら歌詞を書いている

 映像が浮かんでしまい、心から聞き入れない病」

にかかっているので、それはそれで辛かったのですが、

あの時代は本当にAKBグループの全盛期でした。

 

 

AKBの大ヒットを語るうえで、

CDの販売商法のエピソードは外せません。

 

ただ、あのAKB商法が、実はとても

科学に基づいた緻密な戦略

だとしたら、ちょっと怖いよねというお話です。

 

 

 

 

 

 

1.AKB商法は「あくどい」と非難されるが・・・

今でこそ昔の話になりましたが、

AKB48がメディアにひっきりなしに登場し、

まさに一世を風靡していた時代、

大量のCD売り上げ枚数が話題となりました。

 

百万枚越え!ミリオンヒット!

といったニュースにまでなり、

それこそ驚異的な売り上げでした。

 


ただ、多くの人がご存じの通り、

これは一人で数百枚、多い人は数千枚を購入する、

コアなファンの累計で多くなったにすぎません。

 

彼らは、CDに同封されている「握手会抽選券」目当てで、

大量に購入をしているユーザーでした。

ユニークユーザーの数としては、

大したことなかったのが事実だと思います。

 

 

しかし、ビジネスとしては優秀です。

1,000円のCDを100万人に買ってもらうのと、

100,000円分のCDを1万人に買ってもらうのでは、

同じ10億円の売上に変わりありません。

 

まぁ、握手券だけとって捨てられるCDを見て、

本当に資源の無駄だとは思いましたが。

仮にあそこで、裏で不要なCDの回収業をやり、

そちらでも儲けたら、それはそれで面白かったと思いますけど。

(当時既にあったかもしれませんね。)

 

 

当時から私はバンドをやっていたので、

「握手会抽選券」という下世話な商材によって

なんだか音楽分野が侮辱されているような気がして、

あまり心地いいニュースでは無かったのを覚えています。

ただ、そんなことを個人が憂いても仕方ありません。

ビジネスとしては大成功なのですから。

 


しかし、実はこの商法が、

人間の脳内物質の特性に沿って、

とても忠実にデザインされているとしたら、

ちょっと怖い話でしょうか。

 

 

 

 

2.人間は脳内物質に大きくコントロールされる

人間は、何か幸福なことがあったり、不幸があったり、

あるいは興奮状態になったり、落ち着いた状態になったり、

これらの喜怒哀楽には、脳内の物質が大きく関係しています。

 

人間恐ろしいもので、逆に機械的

この脳内物質をコントロールするだけで、

喜怒哀楽を変化させることができてしまうほどです。

 

こういった脳内物質をコントロールしてしまう

覚せい剤などの薬物に関しては、

人間の生活に対する影響力が大きすぎるので、

麻薬・向精神薬取締法で規制されています。

「快感が癖になる」と、人は快楽を求め続けるのは、

薬物中毒者を見ればわかるでしょう。

 


では、この話とAKB商法はどう関連しているのでしょうか?

 

①握手会はオキシトシン補給大会

まず、握手会を頻繁に行う点です。

人は握手やハグなどのスキンシップを行うと、

オキシトシンという

"安心"感情に関わる脳内物質が分泌されます。

 

これは、人間が太古の昔に群れで生活していた

類人猿であったころの名残でしょうか。

人間は、常にこの物質を求めています。

 

人間はオキシトシンが全く分泌されないと、

死んでしまうとまで言われています。

愛は人間に必要なんですね。

愛ゆえに人は苦しまなければならぬ、愛ゆえに・・・・

 

 

そんなオキシトシン補給できる場、

それがあの「握手会」です。

握手についても、少し強めに握ることで、

よりオキシトシンの分泌を"印象付け”します。

まるでマラソンの給水所のように、

オキシトシン中毒になった人は、

こぞって握手会に赴くようになります。

 

 

②CD開封時はドーパミンの洪水

しかし、この握手会に参加するには

「抽選」に参加する必要があります。

 

抽選は完全にランダム、運の要素しかないので、

確率が分かる人であれば、分母を増やそうと

大量の抽選券を手に入れようとします。

しかしこの「抽選」というのが、悪魔のシステムなのです。

 

 

人は"抽選"のように当たるか当たらないかわからない時、

"当たった体験" をするとドーパミンという

"快楽" 感情を司る物質が分泌されます。

 

とある過去の、ハトを使った実験では、

・押せば毎回エサが出るボタン

・10回に1回だけエサが出るボタン

にそれぞれハトを配置し、生活させました。

 

前者のハトは、ボタンを押せばエサがでることを学習すると、

お腹が空いたときだけボタンを押すようになりました。

 

しかし、後者のハトは常にボタンを押しまくっていたのです。

これは、偶然エサが出た時に感じた快楽感情を覚えてしまい

"ア、エサダ・・・グヘヘヘ"

と、脳が快楽を求めて連打してしまったことが原因です。

 

パチンコ依存症ギャンブル依存症は、

まさにこの人間バージョンです。

 

 

しかも、オキシトシンを求めて運よく握手会に来れても、

ごく少数のお客さんに対してはランダムで、

(あるいは、記憶力のいいアイドルは意図的に

わざとそっけないフリをするのです。

 

すると、どうでしょう。塩対応された客は、

「次は・・・次は愛想よくしてくれるよね・・・!」

と、ここでもドーパミンのトリガーが発動します。

 

そういった残念な経験をしたお客さんは

次、少しでも愛想よく接してもらうだけで、

より強い快楽を得ることが出来るのです。

言わずもがな、次の握手会にもやってきます。

あ、ああ、悪魔・・・・!!!

 

 

③AKB商法は、オキシトシン×ドーパミンの合わせ技

結論から言えば、これです。

 

一つの脳内物質を握るだけでも強いのに、

2つ支配されてしまったら

もうなすすべはありません。

 

 

もはや、販売戦略立案者はマッドサイエンティスト

いやマッドではなく、結構順当なサイエンティストです。

 

なぜなら、我々に危害を加えることなく、

倫理的な範囲で購買意欲を掻き立てていますから。

(お財布へのダメージは別ですけどね)

 

 

 

 

3.人はそもそも本当に考えて買っていない

勿論、すべての人がAKB商法にハマったわけではありません。

私は当時、CDを段ボールで買いまくる人を理解できませんでした。

彼らにとっては幸せなので、それはそれで良いんですけどね。

 

販売側からしてみれば、別にすべての人に刺さる必要はなく、

たった1万人のオキシトシンドーパミン中毒者

を作れば、ビジネスとしては十分成功だったのです。

 

 

彼らは、最初は好奇心からCDを手にしたり、

ライブに行ったのでしょう。

でも、いつの間にか、CDを段ボールごと買っている。

私は彼らをバカにするつもりはありません。

誰だって、「モノを買う時」はあまり考えていないのですから。

 

 

自分自身に聞いてみてほしいのですが、

アナタは"必要な物だけ"を購入していますか?

おそらく、滅多に買いモノをしない男性などは、

「そうに決まっている」と答えると思います。

 

しかし、よく思い出してください。

買ったのに一度も使わずに仕舞ってあるもの、

もしくは1回くらいしか使わず、あとはホコリをかぶっているもの。

皆さん、一つや二つくらいあるのではないのでしょうか。

 

 

特に、旅行のお土産など、大量に買い込むときは注意です。

これ、買ったけど結局一回も使わなかった・・・

と言って、引っ越しの時にゴミ箱行きになるものが

意外とあると思います。

 

ただ、悔しがる必要はありません。

私だって「なんでこれ買ったの?」と自問自答することもあり、

これは誰でも持つ性質の一部だからです。

 

結局、論理的思考は常に優先されるわけではなく、

その場のテンションや勢い、高揚感に後押しされて、

購買に踏み切ることがほとんどです。

旅行時なんかは、特にそうですよね。

 

感がるときに、買うべきかいくら考えたって答えは出ません。

買う時は、最終的には「勢い」がどうしても必要なのです。

問題は、この勢いをコントロールし続けなければいけないのです

 

 

ときに、このコントロールがうまくいかないと、

大きな損をしてしまうことがあります。

それは、株式投資(個別株)の場面です。

 

電子レンジや洗濯機はよく調べるような人でも、

なぜか株式投資などではよくリサーチせず、

買いモノ感覚で銘柄を選んで損をする人が多いのです。

(恥ずかしながら、私にもそういった経験があります)

 

 

また、広告の文句にも冷静に対処しなくてはいけません。

世の中には、購買を掻き立てようと、

ネガティブな文句で「損をさせない」ように誘導し、

購入をさせる広告が多数溢れています。

 

"この夏を前に、やせるチャンスはもう今しかない"

"そのシミ、放っておくともしかしたら○○かも"

 

などです。たまに行き過ぎて脅しみたいになってるやつもあります。

これは、ビジネスの場面でも多用されている手法です。

 

・クリニックで頭皮の無料診断を行い、AGAが進行していると告げる。

・「残り在庫わずか」を常にアピールするような表現を使う。

 

人は「得をする」よりも「損をしたくない」という感情が強く、

後者の感情のほうが、より購買に直結します。

プロスペクト理論) 

 

 

モノを買う時は、一旦冷静に。

まあそれでも不要なモノを買ってしまったものは、

うまく有効活用しましょう。

 


以上