10万円で買った物件で20万円の節税になった話(前編)
不動産投資には何百万も必要?
金持ちがやるものでしょ?
このような考え方が、実は違うのは以下の記事で説明しています。
不動産投資とは何て胡散臭い響き!そう思うあなたに(前編) - 狩猟採集新時代
タイトルの内容は、決して嘘ではないのです。
ただ、他にも様々なことを考慮する必要があります。
この記事では、一見スタートしやすそうな「ワンルームマンション」
のフルローンを使った不動産投資のシステムについて説明します。
未経験の方にもわかりやすい、基本的な内容にしました。
そもそもワンルームマンション、フルローンて何?
「ワンルームマンション」とは、その名の通り、
ワンルームで構成されたマンション(集合住宅)です。
概ね20m2~30m2のサイズの、1Kや1Rという部屋だけで構成された
建物の俗称で、主に学生や、社会人の単身者向けの物件です。
最近では、20m2以下の狭小の物件も出てきております。
「夜帰りが遅く、休日も外出している。家では寝るだけ」
という若者のニーズを反映した形ですね。
家でゆっくりタイプの人からは想像が難しいかもしれませんが。
大体、投資用に回される物件は、都心立地の鉄筋コンクリート(RC)造です。
それは、まず都心だとほぼ空室が出ないこと。
安定して家賃が入ってくるというメリットがあります。
鉄筋コンクリート造にすることで物件に強度を持たせ、
丈夫で修繕費があまりかからないというメリットがあります。
そして、「フルローン」について。
普通、家を買うときは物件価格の何割かの頭金を入れます。
例えば、5000万円の一戸建て、夢のマイホームを手に入れたいとき、
現金で5000万円もっている人はほとんどいません。
なので、最低でも1割~3割の頭金(500万~1500万円)をまずは支払い、
残りの金額に対して、銀行・信金でローンを組みます。
つまり、フルローンとは、その名の通り、
物件価格のほぼ全額に対してローンを組むことです。
5000万円の家なら、5000万円分のローンを組むことを言います。
全額をローンなんて、そんなことできるの!?
可能なのです。これが不思議なもので、マイホームでは難しいですが、
小型の投資物件では、不動産屋と銀行の不断の努力(?)により、
何と頭金ほぼゼロでの購入も可能になっているものもあります。
(昨今の引き締め状況で、多少状況は変わっていますが。)
私も、初めて購入した物件は、なんと諸費用込みで10万円。
池袋から電車で10分以内の立地にあるRC造のワンルームでした。
事実、銀行預金から10万円だけ払って、支払い完了。
これが私の不動産投資のスタートでした。
安く買えるのはお分かりいただけたと思います。
では、なぜ不動産が「節税」になるのか、簡単に説明していきます。
「源泉徴収」という神の発明
私が最初に物件を売り込まれたとき、ワンルームの営業マンからは
「節税」をアピールされました。
事実、いろいろな広告で「節税対策に不動産」と書かれています。
税金は、基本的に利益に対して課税されるものです。
こう聞くと、不動産投資は家賃収入が入って、
むしろ増えるんじゃないの?と思う方もいらっしゃるでしょう。
その考えは、間違いではありません。
実は、この「節税対策に不動産」というフレーズには、
複数のケースがあるのです。
①遺産を持つ人が、現金から不動産に変えて、相続税対策する
②経営者が、会社で上がりすぎた大きな利益を不動産購入で相殺する
③サラリーマンが、確定申告で払いすぎた所得税を還付する
ざっと挙げましたが、どれも立派な不動産の活用方法です。
しかし、①と②は、現役サラリーマンにはあまり縁のない内容ですね。
なので、③について説明します。
サラリーマン、つまり給与所得者は、所得税を天引きされています。
給与明細を見てもらえれば、その税金がどの程度のものかわかるでしょう。
天引きというシステムは恐ろしいもので、
金額が大きくても、納めている認識がなくなってしまうのです。
この源泉徴収は、神の発明だと思います。ホント。
仮に、源泉徴収(自動天引き)ではなく、
所得税を年末に各自が収めるように、納付制度を変更したら。。。。
今まで所得税に対して疑いを持ってなかった真面目な人々も、
絶対に”払いたくない”と思うに決まっています。
まさに、人民を騙す神の発明!!
減価償却という不思議なトリック
自分が買った物件に入居者さんが入った時点で、
家賃収入が入ります。これが不動産の唯一の収入であり、
事業的に言えば、売り上げに該当します。
そこから銀行からのローン(元本+金利)を返済し、
手元に残るのが利益です。
ただ、フルローンで買うと、悲しいことにこの利益はほとんど残りません。
2000万円の物件を購入するとき、
頭金を500万入れると、ローンは1500万円だけで済みますが、
フルローンで買ってしまうと、ローンは2000万円になります。
ローン商品というのは、返済年数の上限が決まっているので、
1500万円のローンと2000万円のローン、毎月の返済額が大きいのは、
フルローンのほうだというのはなんとなくわかると思います。
あれ?じゃあ利益残んないじゃん。節税の話はどこ行ったの?
はい、ここで登場するのが、「減価償却」という概念です。
減価償却とは、長期間にわたって使用される固定資産の取得に要した支出を、
その資産が使用できる期間にわたって費用配分する手続きである。(Wikipedia)
厳密な定義はちょっと難しく聞こえますね。
概念なので、しょうがないのですが。
例を挙げます。10年で壊れてしまう500万円の新車があるとしましょう。
10年後、その車の価値はゼロになります。なぜなら壊れてしまうのだから。
つまり、この車の価値を1年ごとに評価しようとしたとき、
年間で50万円ずつ、その価値が目減りすると考えるのです。(定額法)
もちろん1年経ったからといって、建物が急にぼろくなるわけもなく、
あくまでも計算上の資産の価値が減るものです。
財布から毎年50万円でてくるわけでもありません。
これにより、預金が減らないのに、会計上はしっかり費用として計上されます。
毎年費用として計上します。費用です。
勘のいい方はわかったでしょう。
課税対象はあくまでも利益。利益に課税されます。
利益 = 売上 - 費用
不動産を購入してこの減価償却の期間を設定し、費用化します。
すると、売上はあまり変わらないのですが、費用が増えるため、
会計上はあなたの収支(利益)は、マイナス側に傾きます。
前述のとおり、フルローンで買った物件からは、ほとんど利益がないので。
つまり既に確定した所得に対して課税され、なんとすでに納付済み。
確定申告によって税務署に減価償却を計算した書類を提出。
「俺、不動産で結構赤字なんだよね」
と申告。税務署はその書類を見て、
「あら、確かに。あなた所得税を納めすぎよ、返すわね」
と言われ、申告後の1~2か月後に、払いすぎた税金が還付されます。
そうすると、あら不思議。年収にもよりますが、
私は確定申告により、20万円程度の金額が還付されました。
どうでしょう?
タイトルが嘘ではないのがお分かりいただけたかと思います。
10万円の手出しで、それ以上の金額が戻ってきました!!
ここまで聞いて、うおお!!いますぐやってみるっぺ!!!!
と勢いづいた方には申し訳ないのですが。。。
残念、これには幾つも罠があるのです。
後編では、それらを一つ一つ解説していきましょう。
続く