仮想通貨の高利回りな投資案件で友人が撃沈した話
昔々、あるインターネット上に、
とっても高利回りな投資案件がありましたとさ。
その名は「Bit Region(ビットリージョン)」
知っている人は、どうぞこの話を懐かしがってください。
知らない人は、大事な教訓を一つだけ覚えて帰ってください。
目次:
ぶっちゃけ、当時はみんながみんな狂ってました。
世にも奇妙な物語で紹介されてもいいレベルです。
1.仮想通貨の投資案件は当時バグりまくっていた
”バブル経済” という言葉があります。
私が生まれた年がバブル崩壊だったので、
日本経済でそれを実感したことはありません。
しかし、仮想通貨(暗号通貨)界隈では数年前にありました。
2017年~2018年頭にかけ、ビットコインをはじめとするほぼ全ての通貨が
未曽有の上昇を見せていました。
それは2倍・3倍の上昇なんてレベルではありません。
それこそ100倍・200倍の世界です。
※参考:私が仮想通貨バブルに乗っかってブッコんだ話↓
仮想通貨で3000万円儲かって3億円損した話(前編) - 狩猟採集新時代
そんな時代のバブルの波に乗っかって、HYIP("ハイプ")
というものが徐々に流行り始めました。
ハイプとは、High Yield Investment Programの略です。
直訳すれば、仮想通貨に関連した”高利回り投資案件”です。
そのまんま!!
この案件というのは、どれくらい高利回りなのでしょうか?
普通、投資のリターンは、"年利○○%" という表現で表されます。
世界に名だたる一流のファンドマネージャーでも、
安定して年利15%を保てば、御の字でしょう。
年利を12で割ったものを月利なんて言いますが、
月利という言葉が頻繁に使われるのはヤミ金くらいでした。
しかし、このHYIPというものが出てきたとき、衝撃を受けました。
なんと月利30%。ひと月で、10万円が13万円になるというのです。
日利(にちり)という言葉まで登場し、もはや意味不明。
そのHYIPの代表的な案件が、冒頭で出てきた、
「Bit Region(ビットリージョン)」なのです。
なぜ、人はそんな荒唐無稽な利率の案件にツッコんだのでしょうか。
次は、そのカラクリを説明しましょう。
2.「ポンジースキーム」はアホでもできるビジネス
私がビットリージョンと出会ったのは、2017年10月のことでした。
とある合コンお食事会で知り合った男性から、
この「月利30%」の投資案件の話を聞き、早速登録しました。
私も最初、この数字には半信半疑でしたが、仮想通貨バブルのせいで
当時マーケット全体の雰囲気がイケイケドンドンになっていたのです。
すでに感覚のマヒが始まっていました。
ビットリージョンの配当の仕組みは以下の通りです。
まずは、ビットコインで案件運営側に寄付(?)を行う。
その後、引き出しできないロック期間(約1ヶ月)中に運用がされ、
ロック期間終了以降に寄付した元本と配当が出金可能になる。
一体、どんな運用をすれば月利30%になるのか謎ですが、
当時この案件の情報はクローズなものとされていて、
先行者利益にあやかりたいと、どんどん人が喰いついていきました。
しかし、冷静になればわかるのですが、
仮に月利30%の仕組みが本当にあったら、
まず一流の投資ファンドが目をつけているはずです。
何のことはありません。
ビットリージョンのカラクリはとてもシンプルです。
つられて入ってきた人にまずは寄付をさせ、
その新しい寄付金で、既に寄付している人にお金を返します。
その際、高い利率を一緒に返さなければいけないので、
寄付してくれる人が常に増え続けなければ、成り立ちません。
さらに、そこから運営側への儲けも取るので、
寄付してくれる人が続かなくなった時点で、すぐに崩壊します。
つまり、壮絶な自転車操業だったのです。
この仕組みを、詐欺師の名前を借りて「ポンジースキーム」と言います。
当時は、このビットリージョンのようなHYIPが次々に登場し、
登場しては消えていきました。
こうした案件は、仮想通貨バブルの中であれば噂だけで集客でき、
しかもそのシステムは容易にコピーできるのです。
(HYIP案件作成フォーマットが出回ったときは笑いました。)
日々乱立するHYIP達は、次第に差別化のためにエスカレートしていき、
日利どころか時利(1時間当たりの利率)という言葉まで生まれました。
もはや手が付けられません。
配当が上がれば上がるほど、スキーム崩壊までのスピードは速くなります。
新しいHYIPがリリースされたという発表からほんの数日後に、
その案件のサイトが「アクセス不可能(笑)」になることもザラでした。
時利1%のHYIPは、3日くらいでぶっ飛んでました。
ただ消費者もバカではなく(いや、やっぱり多分バカでした)、
そうしたHYIPは、ほぼ例外なくポンジースキームであり、
いつかは返金されなくなるものだと薄々気づいていました。
しかし、いつかシステムダウンするのをわかっていながら、
ギリギリまで利益を増やしては引き出すという、
チキンレースの応酬が繰り広げられたのです。狂ってますね。
3.高利回りに惹かれた私と友人の末路
私はまた例によって、このビットリージョンに
100万円分ブッこんでました。
我ながらギャンブラー。ポケモントレーナーでいえば、
一撃技を連打するような、クソなプレイングだったと反省しています。
実は、当時株塾で一緒だった友人も100万ブッこんでました。
私は幸い、ロック期間が終わり、引き出し可能なタイミングなりました。
当時、まだこれがポンジースキームだとは認識されていなかったのです。
増え続ける配当をニヤニヤしながら眺める日々。100万円ブッこんだので、
一日ごとに1万円増えるのです。気分はもうウハウハです。
株塾で友人と会えば、ビットリージョンの話。
正直、チョロいと思いました。調子に乗りまくりです。
そんなある日、やはり事件が起こります。
2018年1月4日。
その日は偶然株塾の飲み会で、麻布でパーリィナイでした。
その飲み会の席でふと耳にした一言、
「ビットリージョン、そろそろヤバイみたいよ」
・・・・
私も薄々気づいてました。
月利30%、すごいなって。いや、怪しいなって。。。
私は株塾で習った大事な言葉を思い出しました。
「売りが売りを呼ぶ」
悪いうわさは、どこでもすぐに流れます。私は直感しました。
出金が出来なくなる・・・・!!
全員が怪しいと思っているに決まっていました。
噂が流れた時点で、出金申請が殺到するに決まっています。
崩壊へのカウントダウンはすでに始まっていました。。。。
人は愚かなもので、皆で危機に気づかないふりをしていたのです。
私は飲み会会場で急いで携帯のビットリージョンのアプリを開き、
速攻で全額の出金申請を掛けました。
・・・・
悪い予感は見事的中し、
いつまでたっても配当はおろか元金も出金されません。
やっと約1か月後、幸いにも元金だけ手元に戻ってきました。
しかし、悲しいことに友人は少しだけネットの情報などを様子見をして、
翌日に出金申請をかけたそうでした。
彼の元には、まったく帰ってこなかったのです。
半日の判断の送れで、生死が分かれてしまいました。
さらに恐ろしいことを伝えておきます。
なんと、この「ビットリージョンがヤバい」という噂を流したのは、
なんと別のHYIPの関連者だったのです。
自分の案件に人を呼びたいから、絶妙なタイミングで悪いうわさを流し、
ビットリージョンを崩壊させました。
人間の欲望と不安を見事にコントロールしたのです。
その新しいHYIPも、長くはもちませんでしたが。。。。
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これは、懐かしい人には懐かしい話です。
ですが、未だにこういったHYIPが、形を変えてあるそうです。
「形を変えて」と言っても、ポンジースキームには変わりありません。
大きな教訓として、当たり前の言葉を残します。
「怪しい話には裏がある」
以上