狩猟採集新時代

大手上場企業を不動産投資で脱サラした30代が綴るライフログ

"良いものは売れる"と意気込む職人気質だけでは餓死する世界

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私は大学時代、

機械工学を専攻していました。

 

”機械工学”とは、その名の通りメカに関する学問なので、

"モノづくり"に必要な多様な知識を学びます。

 

 


そんな環境で育ってきたからか、

「良いものを生み出す」事が

とても重要だと感じてしまいます。

 

さらに、オリジナルの楽曲を制作・演奏する

バンドサークルに所属していたもんですから、

より「何かを生み出す」ということにこだわっちゃうんです。

 

”オリジナリティ”という言葉を、何より尊重したり。

それを売ったり伝えたりするスキルなんかより、

作り出すスキルのほうが圧倒的に大事、

という徹底した思想です。

 


まさに、"下町ロケット"的な価値観ですよね。

高い技術が日本の発展を支えてきたのは事実です。

 


しかし、今の情報に溢れる時代、

良いものを作り出す技術"だけ"では残念ながら、

折角のモノやサービスが、知られることすらなく

終わってしまう可能性もあるでしょう。

 

私は、社会人経験を積む中で、

このことを深く感じました。

 

 

ここでは、

そんな日本人が陥りがちな「職人気質」について、

まとめてみます。

 

 


目次:

 

 

 

※参考記事↓

プラットフォームビジネスがドえらく稼げるというのは悔しいけど認めざるを得ない - 狩猟採集新時代

 


1.モノづくりの楽しさとすばらしさは大いにわかる

私は幼少期からブロック遊びが好きだったり、

絵を書くことが好きだったり、

新しい遊びを考えることが好きでした。

 

ちょっと破壊が好きな点以外は、

クリエイティブ寄りの子供だったと思います。

 

 

なので、特に深く考えるまでもなく、

大学は「機械工学科」に進学しました。

 

デザイン、製図、材料力学、熱・流体力学、制御工学、電磁気学・・・

どこの大学でも、機械工学科は学ぶことが多すぎるため、

大体ブラック学科になりがちなレベルです。

ただ、学科としてのスキルはやっぱり評価されるらしく、

就職難の時代でも、就活では非常に有利でした。

 

私の大学では、建築・機械・応用化学の理系3学科は、

とくにキツイので3Kと呼ばれていました。

※そんな大学生活大変だった参考記事↓

挫折経験まとめます:大学受験不合格、学生時代の過負荷、ビッグな破局 - 狩猟採集新時代

 

卒業研究でも、論文は書くのですが、

基本は「モノづくり」がベースになっています。

実験装置を自作し、評価方法を考え、

データと考察にして纏めます。

最終発表前に徹夜したのはいい思い出です。

 

 

就職して最初の配属が、現場に関する仕事だったので、

そこでも「モノづくり」に携わりました。

営業が仕事を取ってきて、

それを私の所属していた設計・建設の部署で形にします。

 

もともと仕事の進め方が肌に合ったのか、

やっぱり、その部署でも

「作り出すことが偉い」という思想に陥っていました。

 

 

しかし、その後営業部署に異動し、

この自分の考えは正しくないことに気づきます。

 

 

営業部署に異動した私は、

前の部署で自分のやっていた仕事の内容が、

全体的な業務の中のごく一部に過ぎなかった

ということに気づかされます。

 

潜在的な顧客の発掘、

モノを作る前の顧客の要望の調整、

引き渡し後のサービスのフォロー、

そして、何より大事な収支の計算・・・・

 

営業部署の最初の上司に言われたのは、

「営業は頭、営業だけでは何もできないけど、

 様々な部署を手足のように動かさないといけない」

というものです。

 

 

確かに、いくらいいモノを作っても、

それを売る人がいないと価値はゼロなのは当たり前。

 

モノを作るのは重要だけど、

それをどのように提供するか。

それが大事なのだと、若造ながらに痛感しました。

 

 

 

 

2.人にはそこまで審美眼がない

 

私は、会社員生活の傍ら、いろんな人に会いまくりました。

その中で耳にした衝撃的な言葉が、

 

モノを売るために必要なスキルは、

集客力 7割

販売力 3割

商品力 0割

というものです。

 

 

え????

商品力、ゼロ???

 

 

「モノづくり偉い神話」を信じている私は、

当時この考えを断固として拒否しました。

 

 

ですが、よくよく考えてみると、

この言葉もある意味正しいと思います。

 

例えば、ドラッグストアに

メチャクチャに良い成分が入っているという

まったく知らないメーカーの1000円のシャンプーと、

誰もが知っている知名度抜群の大手メーカーの、

評判が悪くない500円のシャンプーだったら、

後者を買う人が圧倒的に多いでしょう。

 

成分表示を一々見て、有効成分の量を算出して

コスパ計算する人はごくごく少数です。

成分の良さを信じて買っている人も、

そのメーカーをどこかしらで知った人でしょう。

 

「知っている」

という顧客が持つ圧倒的な安心感

その安心感を植え付けるのに、大手化粧品メーカーは、

商品価格の90%を広告費にかけている

とも言われています。

内容成分を良くするよりも、

そっちのほうが売れるからなのでしょうか。

 

 

また、知っている人は知っている話だと思いますが、

ソニーは昔、Betamaxというビデオテープを開発しました。

このBetamaxは、日本ビクターが開発したVHSと、

ビデオの規格を巡った「ビデオ戦争」をしていました。

 

画質としてはVHSを上回っていたBetamaxですが、

今では、Betamaxの名前を聞くことは殆どありません。

(ビデオテープが無くなってきたので、VHSもあまり聞かないですけど)

 

画質の良さという性能(商品力)ではなく、

徹底した市場調査やOEMによる販売網の強化などによって、

VHSはビデオテープ規格の戦争に勝利しました。

また、広告展開を失敗したことにより、

多くの顧客が離れてしまったともいわれています。

※技術的な競争も、もちろんあったようですが。

 

 


ただ、「商品力が全くなくていい」

は、間違っていると思います。

 

人は、一旦手に入れたモノや体験した事に関しては、

やけに鋭敏だったりします。

なので、提供する側が「所詮わからないだろう」

とタカをくくるのはご法度。


ほんと、料理をしている方はわかると思いますが、

ごはん一つ炊くのにも、吸水時間や気温、

火加減、蒸らし時間によって、微妙に食感が変わります。

 

 

ラーメン屋ともなれば、

出汁とり、製麺、具材の味付けなど、

数多くの要素が絡んできます。

 

プロのお店に行って年中変わらない味を体験すると、

同じクオリティを出し続けるのがプロなんだと、

とても感心します。

 

敏感な常連客は、この味の変化を見逃さず、

手抜きしようものなら客足はすぐ遠のきます。

「商品力」はやっぱり大事ですよね。

 

 

 

 

 3.個人商店には追い風なことは間違いない

商品力が大事なのは前提として、

集客力を上げるにはどうすれば良いのでしょうか。

 

その答えは、だれもがイメージできる「広告」です。

広告費をかけまくる、いわゆる札束ビンタのような

オークションマーケティングは終わり、

クオリティマーケティングの時代に

入っているともいわれます。

 

 

先ほどのシャンプーのように、

テレビCMは未だに多くの広告費が必要で、

個人規模で参入しても、とてもかないません。

しかし、Googleサーチエンジンは、

広告費によって広告の表示場所は変わったりするものの、

意図的に検索の結果を上下させることはありません。

 

優れたアルゴリズムで「良質な記事」を見分けます。

そもそも、課金したサイトを上位表示されていたら、

SEOなんてモノはやる意味ないですから、当然ですね。

 

検索順位について課金しないのは、

そうした公平性が、最終的にユーザーから

評価されることを知っているからです。Googleかしこい。

(ホントの裏はどうなっているか知りませんけど。)

 

 

なので、良質なサイトが評価されるのと同じように、

「良質なモノ」は、知られさえすれば

きちんと評価されます。

そのため、集客と販売に力を入れさえすれば、

インターネットの海の中で必ず評価されます。

 

 

知られるためには、大手のCMなどと戦うのは無謀です。

そうした競争の激しい分野ではなく、

ニッチを狙うべきなのは言うまでもありません。

 

たとえば、「化粧品」分野ではなく、

「昆布成分の入った化粧品」分野といった感じです。

そんなモノあるのかわかりませんけど。

 

 

 

ニッチ分野での「モノづくり」

職人気質が活かせる分野は、残っていました。

よかったよかった。

 

ただ、私もそうなのですが、

「モノづくり」サイドの職人気質人間は、

販売や集客に苦手意識を持っている人が居ます。

つい、人に任せたくなっちゃうんですよね。

 

バンド活動をしていても、

良い曲を作るだけでは売れないんだなぁ

と、つくづく実感します。

売れているバンドは、曲作りと同じくらい

売るための戦略を必ず立てています。

 

 

残念ながら、集客と販売を疎かにして、

「俺は良いものを作っているんだ」

と、あぐらをかいているだけでは、

売上はゼロ。

 

肝に銘じなければ。。。!

 

 

 

以上